【医師が監修】ピニトールとは?多嚢胞性卵巣症候群なら知っておきたい注目の妊活成分を勉強しよう

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こんにちは、PCOS(ぴーこす)編集長です。
今回ご紹介するのは、多嚢胞性卵巣症候群に効果があると期待されている新成分『ピニトール』についてです。

この記事は、【多嚢胞性卵巣症候群はインスリン抵抗性が大きな原因になっている】という知識を前提にしています。
そのことについて詳しく知りたい方は前回の記事からお読みください。
>>多嚢胞性卵巣症候群とインスリン抵抗性の関連

ピニトールはアメリカではすでに産婦人科医療の世界で用いられている成分で、日本でも脚光を浴びています。

このページは医師としてPCOS編集長が責任をもって監修しておりますが、さらに最新の知見や訂正などがあればお問い合わせからご連絡ください。

それでは、さっそく解説します。

 

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ピニトールとは

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ピニトールは大豆食品などから抽出されるビタミンB群の一種です。

ピニトールはインスリン抵抗性(体が通常のインスリン量では反応しなくなっている状態のこと)を改善する成分として報告されています。インスリン抵抗性は2型糖尿病や肥満、PCOSと密接に関係があり、ピニトールを摂取することで、これらの病気が改善する可能性があるため、農業、食品、医療など各方面からの注目を集めています。

ピニトールは、科学的には環状糖アルコールと呼ばれる「糖」に分類されますが、砂糖と異なり脂肪に変換されません

コレステロール低下やイライラ予防に効果のあるサプリメントとして有名なカイロイノシトールの化学構造が変化したものがピニトールで(正確には一か所の水酸基がメトキシ基に変換されたもの)、ピニトールを摂取すると体内でカイロイノシトールに変わるので、ピニトールとカイロイノシトールはほぼ同じ役割を担うことが分かってきています。

しかしカイロイノシトールは蕎麦以外の植物からはほとんど検出できず(*1)、一方ピニトールは大豆、イナゴ豆などいくつかピニトール含有植物が報告されています。

また大豆からピニトールとカイロイノシトールを抽出するとき、ピニトールは高純度に抽出されますが、カイロイノシトールは低純度になってしまいます(*2)。サプリメントにおける有効成分の純度は効果に影響を与えるため、高純度のものを抽出できる「ピニトール」の方が、カイロイノシトールよりもサプリメントに適しています。

ピニトールのサプリメントを扱っているメーカーはまだ多くはありませんが、インスリン抵抗性の患者やPCOS患者を支えてくれるサプリメントとして需要が高まっています。

>>>ピニトール配合妊活サプリ ベジママ

 

ピニトールを含む食品

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ピニトールを含む食材は黒豆大豆が代表的ですが、水溶性のため、食品加工や加熱の際に大部分を損失してしまいます。そこで2005年、フジッコ株式会社がピニトールを分解しない豆の調理方法として、水漬けした水や、煮汁を大豆に全て吸収させることでピニトールを残留させる手法を特許出願しました(*3)。また大豆から納豆を作る過程では納豆菌がピニトールをほとんど消費してしまうので、同じく2005年に神戸大学と北興化学工業株式会社から、ピニトールを分解しない納豆菌として、イノシトールを代謝する遺伝子、又はその遺伝子の能力をコントロールする遺伝子(プロモーター遺伝子)を破壊する方法を開発し、特許が出願されています(*4)。
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またプチプチした触感と薄塩味が人気の高級食材、アイスプラント(別の商品名:ソルトリーフ、クリスタルリーフ)にもピニトールが含まれています。日本アドバンストアグリ株式会社では親会社であるツジコー株式会社のLEDやHEFL(ハイブリッド電極蛍光管)の照明技術を駆使し、工場内でのアイスプラントの通年量産に成功し「ツブリナ」のブランド名でスーパー、百貨店などに卸しています。また同社ではアイスプラントからピニトールを濃縮した「グラシトール」をサプリメントとして販売しています。この「ツブリナ」は特殊なアイスプラントの培養方法を使用しているため、一般的なアイスプラントよりも栄養価が高められています(*5)。
他には松葉、イナゴ豆、エゾウコギ、ケンポナシにもピニトールは含まれていますが、日本では手に入れることが難しいためピニトール含有の高い黒豆や大豆、納豆、アイスプラントを食すか、サプリメントを摂取する方が良いでしょう

注意
ルイボスティーにもピニトールは微量に含まれますが、含有量は上記の植物に比べたらとても低いです。

 

ピニトールの効果

ピニトールは体内でカイロイノシトールに変わり、インスリンの働きを向上させます。正常な人はミオイノシトールを摂取すると体内でカイロイノシトールをつくるのですが、インスリン抵抗性のある人はミオイノシトールをカイロイノシトールへ変換できず、ミオイノシトールのまま体外に出てしまいます(*6)。そのため、インスリン抵抗性のある糖尿病患者や多嚢胞性卵巣症候群患者にピニトールを投与すれば、インスリン抵抗性が改善すると考えられるのです。

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実際の臨床試験でも、インスリン抵抗性のあるII型糖尿病患者男女30人の調査において、朝食と夕食後に1回600 mgのピニトールを13週間経口摂取した結果(血糖降下薬は続けて服薬)、血糖値の低下、脂質代謝の正常化、血圧の正常化がみられたという報告があります(*7)。

これは血糖降下薬を服薬しているにも関わらず血糖値がコントロール出来ていないインスリン抵抗性の患者での調査で、プラセボ群(有効成分の入っていない偽薬。薬を飲んだという心理効果のみで薬の効果が出たのか否かが調査できるので、薬効調査のコントロールになります)に対して、ピニトール服用群の方が体内でインスリン機能が正常化していることを表しています。

 

ピニトールがインスリン抵抗性を改善する分子レベルのメカニズム

ピニトールは、上記とは別の方向からもインスリン抵抗性を治すという報告があります。かなり込み入った難しい話なので読み飛ばしてもらっても構いません。

【*読み飛ばし推奨*】

インスリンの受け皿の役割であるインスリン受容体と、インスリンが結合することで内在性チロシンキナーゼという物質が活性化されます。この活性化されたチロシンにIRS(インスリンレセプター基質)が結合すると、IRSの活性化が引き起こされ、PI3K(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ)にシグナルを伝達します。さらにPI3KはAkt(セリン/スレオニンキナーゼ)という物質を活性化し、グルコース輸送体(Glut4)を細胞膜へ移動(トランスロケーション)させます。トランスロケーションは細胞に対するグルコースの取り込みを行い、それと同時に活性化AktはGSK-3β(グリコーゲン合成酵素キナーゼ 3β)を活性化(Ser9をリン酸化)することによりGSK-3βを不活性化し、その結果としてGSK-3βの基質であるGS(glycogen synthase)というタンパク質の不活性化を引き起こし、結果的に糖の合成を促進させています。激しいインスリン抵抗性を示すIRS-/-マウス(IRSの遺伝子が無くなったマウス)ではGSK-3β活性が亢進し、一方で、β細胞の増殖を抑制するとともにβ細胞を減少しています。遺伝子操作でβ細胞のGSK-3βを無くすと糖尿病が改善するとともにβ細胞におけるIRS発現が亢進します(*8,*9)。

つまり「GSK-3β」が活性化されるとインスリン抵抗性になり、糖尿病やPCOSを発症します。そして最新の研究ではラットの実験において、ピニトールがその「GSK-3β」の働きを抑制することで、インスリン抵抗性を改善するという報告があります(*10)。

 

イノシトールがPCOSを改善

ピニトールの変化した物質であるイノシトールがPCOSの治療薬として有効という論文は多数存在します。例としてはBMI30以上である46人のPCOS患者にイノシトールを経口摂取させると、プラセボ群と比較してFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、テストステロン、SHBG(性ホルモン結合グロブリン)などの値が改善されたとの報告があります(*11)。

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また、PCOS患者はカイロイノシトールが欠乏しており、カイロイノシトールを補充することでインスリン抵抗性と血圧、無月経の改善及び排卵の増加、テストステロン値の低下が報告されている論文もあります(*12,*13,*14)。

しかしミオイノシトールとカイロイノシトールのどちらがPCOSの治療に有効であるかについては、どちらでも効くという報告が多く(*11,*15)、メカニズムについては議論の余地がありそうです。

 

ピニトールが直接PCOSを改善するという報告も

体内でカイロイノシトールに変換される『ピニトール』を投与した研究もあります。

20人のPCOS患者にピニトール600 mgの経口投与を6~8週間続け、6割の人に周期的な排卵がくるようになったとの報告があります(*13)。ピニトール自体がPCOSの治療につながる直接的なメカニズムの報告はまだありませんが、

1.ピニトールがインスリン抵抗性を改善する分子レベルでの仕組みは既知である。
2.インスリン抵抗性はPCOSの一因である。
3.ピニトールおよび、ピニトールから生成されるカイロイノシトールはPCOS治療に有効との報告が多数存在する。

これらのことから、ピニトールがカイロイノシトールに変換され、インスリン抵抗性を治すことでPCOSが改善される、という図式がみえてきます。

 

ピニトールの副作用

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ピニトール自体の副作用は報告がありません。ピニトールが水溶性であるため、過剰量は尿として排泄されるからです。ただ、ピニトールを含むサプリメント(例としてグラシトール)はお腹がゆるくなる場合があります。また殆どのピニトール含有サプリメントには葉酸が含まれるので、葉酸サプリメントを飲んでいる人は過剰摂取になる可能性があります。葉酸の一日の推奨摂取量は「非妊時が240μg、妊娠時は480μg」(*16)であり、一日1000~10000μg(1~10mg)の摂取で葉酸過敏症になり、発熱や蕁麻疹、かゆみなどが現れることもあります。

また食品委員会肥料・飼料等専門調査会で、イノシトール(何のイノシトールかは明記しておらず)について「唯一最高用量での経口投与(12 g/ヒト/日)において、吐き気、放屁、下痢などの軽度の胃腸障害を誘引するが、重篤には至らない」という評価が発表されています(*17)。

補足
PCOS(ぴーこす)で推薦している妊活サプリ『ベジママ』は1日当たりのピニトールは260mg、葉酸は400μgです。2016年11月に新発売となった『ママナチュレ』というサプリメントにはピニトール300mgが配合されています。

 

一日に必要な摂取量

ピニトールの摂取推奨量について厚生労働省は具体的に提示していませんが、臨床研究ではPCOS患者や糖尿病患者が600 mgのピニトールを摂取しているので、一日600mgまでが目安となります。日本人は味噌汁や納豆などで、日ごろからピニトールを無意識に摂取していることもあるので、サプリメントではそれ以下でも十分です。

ただし、サプリメントの純度によっては、表示されている数字よりもピニトール濃度が低い場合もあります。

アメリカのAmazonを経由すれば海外で売られているピニトールサプリメントを購入することも可能ですが、安全性の確認がとれず、ピニトール以外の配合成分もすべて英語表示となっていますので、妊活用にピニトールサプリを選ぶ場合には、医薬品・医薬部外品の製造管理・品質管理の基準を満たした『GMP認定工場』で生産された、国産サプリメントを選ぶことが大切です。

 

まとめ

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いかがでしたでしょうか。かなり専門的な部分まで踏み入って、ピニトールについてわかっていることをお知らせしました。インスリン抵抗性を改善するための有望な成分であるピニトールについて理解できたでしょうか。

インスリン抵抗性を改善する方法には、サプリメント摂取以外にも『運動』があります。

多嚢胞性卵巣症候群で不妊症の方は、ピニトール配合サプリメントを飲みつつ、日ごろから継続的な運動をすることでかなり体質が変わってくると考えられます。

ぜひ、これからの不妊治療の参考になさってください。

 

PCOS(ぴーこす)では、妊活葉酸サプリとしてピニトールを配合している『ベジママ』と『ママナチュレ』を推薦しています。

 

 

葉酸サプリ「ベジママ」

 

 

ママナチュレ
 

PCOS編集部員で、サプリメントアドバイザーの資格を持つむーたんが『ベジママ』と『ママナチュレ』の体験談を書いてくれています。
参考にしてくださいね。

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2016.10.19

 

<<参考文献>>
1.Horbowicz M, Brenac P, Obendorf RL.Fagopyritol B. O-alpha-D-galactopyranosyl-(1–>2)-D-chiro-inositol, a galactosyl cyclitol in maturing buckwheat seeds associated with desiccation tolerance. Planta. 1998 May;205(1):1-11.
2.特開2004-519251
3.特開2007-159462
4.特開2007-97536
5.戦略的基盤技術高度化支援事業 研究開発成果事例集 平成22~23年度研究開発プロジェクト 経済産業省 中小企業庁 経営支援部発行
6.Vohl H: Ueber das Auftreten des Inosites im Haru bei Nierenkrankheiten und die Verwandlung des Diabetes inositus. Arch. F. physical. Hulk. Stuttg. N. F 2: 410-12, 1858.
7.Kim JI1, Kim JC, Kang MJ, Lee MS, Kim JJ, Cha IJ. Effects of pinitol isolated from soybeans on glycaemic control and cardiovascular risk factors in Korean patients with type II diabetes mellitus: a randomized controlled study. Eur J Clin Nutr. 2005 Mar;59(3):456-8.
8.Tanabe K, Liu Z, Patel S, Doble BW, Li L, Cras-Méneur C, Martinez SC, Welling CM, White MF, Bernal-Mizrachi E, Woodgett JR, Permutt MA. Genetic deficiency of glycogen synthase kinase-3beta corrects diabetes in mouse models of insulin resistance. PLoS Biol. 2008 Feb;6(2):e37. doi: 10.1371/journal.pbio.0060037.
9.谷岡利裕:膵β細胞におけるインスリン抵抗性の分 メカニズム – 昭和大学薬学雑誌 第2号 2011 (2): 127-38.
10.Gao Y, Zhang M, Wu T, Xu M, Cai H, Zhang Z. Effects of D-Pinitol on Insulin Resistance through the PI3K/Akt Signaling Pathway in Type 2 Diabetes Mellitus Rats. J Agric Food Chem. 2015 Jul 8;63(26):6019-26. doi: 10.1021/acs.jafc.5b01238. Epub 2015 Jun 23.
11.Benelli E, Del Ghianda S, Di Cosmo C, Tonacchera M. A Combined Therapy with Myo-Inositol and D-Chiro-Inositol Improves Endocrine Parameters and Insulin Resistance in PCOS Young Overweight Women. Int J Endocrinol. 2016;2016:3204083. doi: 10.1155/2016/3204083. Epub 2016 Jul 14.
12.Nestler JE, Jakubowicz DJ, Reamer P, Gunn RD, Allan G. Ovulatory and metabolic effects of D-chiro-inositol in the polycystic ovary syndrome.N Engl J Med. 1999 Apr 29;340(17): 1314-20.
13.Iuorno MJ, Jakubowicz DJ, Baillargeon JP, Dillon P, Gunn RD, Allan G, Nestler JE. Effects of d-chiro-inositol in lean women with the polycystic ovary syndrome. Endocr Pract. 2002 Nov-Dec;8(6):417-23.
14.Nestler JE, Jakubowicz DJ, Iuorno MJ. Role of inositolphosphoglycan mediators of insulin action in the polycystic ovary syndrome. J Pediatr Endocrinol Metab. 2000;13 Suppl 5:1295-8.
15.Formuso C, Stracquadanio M, Ciotta L. Myo-inositol vs. D-chiro inositol in PCOS treatment. Minerva Ginecol. 2015 Aug;67(4):321-5. Epub 2015 Feb 11.
16.日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要:厚生労働省
17.対象外物質※ 評価書 イノシトール2013年1月食品安全委員会肥料・飼料等専門調査会

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3 件のコメント

  • ピニトールの効果について分かりやすく、早速使用してみようと思いました。摂取目安について質問です。
    臨床研究ではPCOS患者や糖尿病患者が600 mgのピニトールを摂取しているので、一日600mgまでが目安となります。
    とありますが、

    前半の臨書研究のインスリン抵抗性のあるII型糖尿病患者男女30人の調査において、朝食と夕食後に1回600 mgのピニトールを13週間経口摂取した結果(血糖降下薬は続けて服薬)、血糖値の低下、脂質代謝の正常化、血圧の正常化がみられたという報告があります(*7)。

    とあります、糖尿病の人は600mg/回×朝夕の2回ということでしょうか?それとも1日600mgの間違いでしょうか?

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